大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和60(あ)1497 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人野々山哲郎の上告趣意のうち、憲法一四条、三一条違反をいう点は、実質

は量刑不当の主張であり、判例違反をいう点は、所論引用の判例は事案を異にし本

件に適切でなく、その余の点は、事実誤認、単なる法令違反、量刑不当の主張であ

り、被告人本人の上告趣意は、違憲をいうが、実質は事実誤認の主張であって、い

ずれも刑訴法四〇五条の上告理由に当たらない。

また、記録を精査しても、同法四一一条を適用すべきものとは認められない(原

審が被告人の本件各犯行当時における完全な責任能力を肯定したことは、本件証拠

に照らし是認することができる。また、本件は、夕刻、被告人が独り住まいをして

いるアパート付近の人目につかない路上において、近隣に住む五歳の幼女に対しわ

いせつ行為に及んだ上、その日の夜、右アパート付近のパチンコ店内でかねて被告

人に懐いていた三歳の幼女が遊んでいたのを誘って、アパート内の自室に連れ込み、

同女に対しわいせつ行為に及んだところ、同女が涙を浮かべ、今にも泣き出しそう

な感じで「ママのところへ帰る。」と言い出したため、犯行の発覚を恐れて同女の

首を両手で絞めて殺害し、その死体を近隣のアパートの植込み内に運んで遺棄した、

というものである。疑うことを知らない幼女のひ弱さに乗じて強制わいせつ行為に

及んだ挙句、その発覚を免れるため、無抵抗の三歳児の生命を無残にも奪ったもの

であって、その所為はまことに冷酷というべく、結果も重大である。また、遺族の

被害感情はもちろん、同年代の子を持つ親に与えた影響も深刻である。加えて被告

人は、かつて、花摘みをしていた七歳の幼女を強姦しようと企て、同女を山林内に

誘って姦淫しようとしたが、抵抗されて目的を遂げなかったものの、同女に傷害を

負わせた上、犯行の発覚を恐れてこれを両手で絞殺したという、本件と同種の強姦

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致傷、殺人の罪により無期懲役に処せられた前科を有し、右無期懲役の仮出獄中に

敢行したのが本件である。以上のような本件犯行の罪質、動機、態様、結果、遺族

の被害感情、社会的影響、被告人の前科等に照らすと、被告人が事前に計画を立て

て本件を敢行したものでないこと、また、被告人の反省の情や知能程度等を考慮し

ても、被告人の罪責はまことに重大というほかはなく、原判決が維持した第一審判

決の死刑の科刑は、当裁判所もこれをやむを得ないものとして是認せざるを得ない。)。

よって、同法四一四条、三九六条、一八一条一項ただし書により、裁判官全員一

致の意見で、主文のとおり判決する。

検察官清水勇男 公判出席

平成四年二月一八日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 可 部 恒 雄

裁判官 坂 上 壽 夫

裁判官 貞 家 克 己

裁判官 園 部 逸 夫

裁判官 佐 藤 庄 市 郎

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